2026年10月5日、海内地域づくり協議会に兵庫県香美町議会 総務民生常任委員会の皆さまが視察に訪れました。
- 名称:香美町議会事務局の行政視察
- 主催:海内地域づくり協議会、佐用町役場企画防災課、香美町議会事務局
- 活動内容:主な研修内容 – 協働のまちづくりの実践について、 小規模 高齢化地域における地域運営組織と住民主体のまちづくり計画の実践について
- 日時:2026年10月05日 (月) 13:30~
- 会場:佐用町海内 若杉館


海内地域づくり協議会から、香美町議会事務局への質問と答え
Q. 海内地域づくり協議会のことは、どこでお知りになりましたか?
A. 海内地域づくり協議会のホームページを見ました。
Q. 今回、視察先として海内地域づくり協議会を選ばれたのは、どのような理由からでしょうか?
A. 香美町では現在、1つの地域づくり協議会が活動を始めています。今後、さらに地域づくり協議会を増やしていくため、新たな協議会の立ち上げに向けた参考とすることを目的としています。
香美町議会事務局から、海内地域づくり協議会への質問と答え
Q. 他地域でも再現可能な要素と、 海内地域固有の条件は何だと思いますか。 また、活動を継続するうえで、現在感じている課題は何かありますか。
A. 他地域でも取り入れられることとしては、地域にある人や組織の力を、それぞれ無理のない形で生かすことだと思います。
海内では、納涼ふるさと祭りは消防団、ふれあい喫茶はボランティアグループ、「ふるサポ」は海内山歌、防災訓練は自治会というように、地域づくり協議会だけですべてを行うのではなく、それぞれが役割を持って活動しています。また、歴史写真については、住民の皆さんから昔の写真や情報を提供してもらっています。
こうした方法は、地域の規模や状況に合わせて形を変えれば、他の地域でも取り入れることができると思います。
一方、海内の特徴は、2自治会という小さな地域で、住民同士の顔が見える関係が残っていることです。また、旧海内小学校と若杉館を活動拠点として利用できることも大きな強みです。
現在の課題は、人口減少や高齢化によって、これまでと同じ方法で活動を続けることが難しくなっていることです。そのため、無理に今までの形を維持するのではなく、できるだけ負担を減らす方向に変えています。
例えば、納涼ふるさと祭りでは現金払いをチケット制にして販売担当を一人でもできるようにし、自前の焼きそば屋台もキッチンカーに変更しました。体育祭も3年前を最後に終了しています。
ただ、人口減少や高齢化をマイナス面だけで考えているわけではありません。草刈りなどに困る人が増えたことから「ふるサポ」が生まれ、地域で長く暮らしてきた方々の記憶や昔の写真は「歴史写真」という地域資源になりました。課題があるからこそ、新しい活動が生まれることもあります。
今後、全国でも人口減少によって、海内のような小規模な地域は増えていくと思います。大きな組織や多くの人がいなくても、「やめるものはやめる」「簡単にできる方法へ変える」「地域にある人や力を生かす」ことで地域づくりを続けていく。海内の取り組みが、これから増えていく小規模地域にとって、一つの参考例になればと思っています。
Q. 組織設立に向けての行政と地域の取組み状況について教えてください。
その中でどのようなことが課題であったか、どのように解決されたのか教えてください。
A. 海内地域づくり協議会の前身は、約60年前に発足した「海内分館」という組織になります。
当時から現在まで、活動方針や組織構成、活動内容の基本的な部分には、大きな違いはないように思います。行政との関係についても現在と大きく変わらず、町の担当職員と相談・連携しながら、地域が主体となって活動を進めてきました。
これまでの取り組みの中で大きな課題の一つとなったのが、行政から依頼された「まちづくり計画」の策定です。過去に2回取り組んでおり、その都度、計画について話し合うための会議が増えるなど、役員の負担も少なくありませんでした。
しかし、役員が協力しながら話し合いを重ね、2回とも計画を冊子としてまとめ、地域の各戸へ配布するところまで実現することができました。
これは、計画を作るという目標に向かって役員一人ひとりが協力し、それぞれの役割を担った結果だと考えています。会議の増加など負担はありましたが、地域の将来について改めて考え、話し合い、その内容を形として残す機会にもなりました。
Q. 設立してから現在までの組織の状況や変化の理由は何ですか。
設立してから現在までの組織の役職や役員の出身母体、参加されている男女の割合や年齢層について教えてください。
A. 変化は、婦人会と高年クラブがなくなったことで役員が4名マイナス、海内山歌の若者グループができたことで役員が1名プラスになりました。
主な役員は、協議会会長1名、副会長1名は自治会から、センター長1名・まちづくり活動推進員まちづくり活動推進員4名は住民から、あとは福祉会・消防団・農会長・保護者・ボランティアなどになります。本部役員が9名全員男、運営委員は男7名女1名です。
年齢層は40歳から70歳になります。
イベントなどで人手不足の場合は、住民にお願いしています。
Q. 人口減少 高齢化が進む中で、 幅広い世代の住民が地域づくりに関わるために、どのような工夫をされていますか。 また、若い人たちを「後方支援ではなく、一緒に」と位置付ける中で、 実際にどのような取組みや変化がありましたか。
A. 人口減少や高齢化が進む中で、できるだけ多くの住民が無理なく参加できるよう、活動内容そのものを見直してきました。
以前は体育祭や歩こう会など、比較的体を使う行事も行っていましたが、高齢化が進む中で、こうした行事は行わないようにしました。その代わりに、輪投げや遺影写真撮影会、ふれあい喫茶など、年齢や体力にかかわらず参加しやすい活動を取り入れています。
また、昔の写真を見ることは認知症予防にもつながると言われていることから、地域の昔の写真を住民から募集し、「歴史写真」として毎月発行する取り組みも行っています。昔の風景や行事、学校生活などの写真を見ることは、高齢者にとって懐かしい記憶を振り返る機会になるとともに、若い世代に地域の歴史を伝えることにもつながっています。
若い人たちとの関わりについては、「後方支援ではなく、一緒に」という考え方は、主に地域づくり協議会の活動についてのものです。協議会の行事や活動では、若い世代を単に手伝ってもらう人としてではなく、一緒に地域づくりを進める一員として関わってもらうことを大切にしています。
一方で、若者グループが自分たちで企画して行う活動については、協議会が内容に口を出しすぎないようにしています。若い人たち自身の考えや自主性を尊重し、必要なときに協力するなど、こちらはむしろ後方支援に徹するようにしています。
Q. 海内地域づくり協議会と佐用町は、それぞれどのような役割を担いながら地域づくりを進められているか。 また、地域が主体的に活動する上で、行政や地域づくりアドバイ ザーからどのような支援を受けているか。
A. こちら側の考えですが、海内地域づくり協議会と佐用町との関係は、どちらかが一方的に支援するというよりも、「持ちつ持たれつ」の関係だと考えています。
地域づくり協議会は、地域に住んでいるからこそ分かる困りごとや住民の声を拾いながら、自分たちでできることを考え、地域の実情に合った活動を行っています。一方、佐用町には、地域だけでは判断が難しいことや行政との調整が必要なことについて相談し、制度や行政の立場から助言や支援をしていただいています。
普段から町の担当職員とは、何かあれば気軽に相談できる関係にあります。地域から町へ相談することもあれば、反対に町から地域へ相談や協力の依頼があることもあります。行政にすべてをお願いするのでも、地域だけですべてを抱えるのでもなく、それぞれができることを持ち寄って進めているというのが実際のところだと思います。
地域づくりアドバイザーについても、地域の活動を決めてもらうというより、私たちが何か新しいことを始めようとするときや、行き詰まったときの相談相手という存在です。地域の外から見た意見や他地域の事例などを聞くことで、自分たちだけでは気付かなかった考え方や方法を知ることができます。
もちろん、最終的に何をするかを決め、実際に動くのは地域です。行政やアドバイザーには、地域の主体性を尊重しながら、必要なときに相談に乗ってもらったり、地域だけでは難しい部分を補ってもらったりしています。 (例えば出張美容室など)
海内地域づくり協議会、佐用町、地域づくりアドバイザーがそれぞれの立場で役割を持ちながら、「支援する側・される側」と分けるのではなく、お互いに相談し、できるところを補い合う関係で地域づくりを進めていると考えています。
Q. 以前の活動について 「事業のマンネリ化」 「役員や組織体制の硬化」 「参加者の減少」 などを課題として捉えていたようですが、こうした課題をどのように把握し、現在 の活動や組織の見直しにつなげられたのでしょうか。
A. 「事業のマンネリ化」や「役員・組織体制の硬化」については、私たち自身はそれほど大きな課題として感じていません。
参加者が以前より少なくなっていることについても、人口そのものが減少し、高齢化も進んでいる中では、ある程度は仕方のないことだと考えています。そのため、単純に「参加者を以前の人数に戻そう」という考え方はしていません。
また、課題を細かく分析して、その結果をもとに組織や事業を大きく見直すということも、あまり行っていません。普段の活動の中で住民から聞く話や、参加される方の様子、地域の状況などを見ながら、「これは今の地域には合わなくなってきた」「こういうことなら参加してもらえそうだ」と感じたときに、その都度、自然な形で活動を見直してきました。
例えば、高齢化が進む中で、体育祭や歩こう会など体への負担が大きい行事は行わなくなり、輪投げやふれあい喫茶など、より参加しやすい活動へ変わってきています。
ですから、何か明確な転換点があって現在の形になったというよりも、周りの声を聞き、地域の変化を見ながら、その時々に合った活動へ少しずつ変えてきた結果が現在の海内地域づくりだと思っています。
Q. 海内地域づくり協議会が掲げる「み」 らいへ 「う」け継ぐ「ち」 いきの絆の4つの基本方針は大事なことだと思います。 この4つの基本方針の中で、行事や役 (地域で行う共 同作業など) を見直すとあります。 具体的にどのような行事や役員の数の見直しが行われたのでしょうか。
A. 行事については、地域の高齢化や参加状況などを考え、これまで行っていた体育祭や歩こう会をやめました。
また、役員の負担を少しでも減らすため、会議についても必要以上に開かないようにし、連絡や簡単な協議で済むものについては、できるだけLINEを活用するようにしています。
組織体制については、婦人会と高年クラブがなくなったことで、地域づくり協議会の役員も4名減りました。しかし、その4名分を新たに別の人で補充することはせず、役員数を減らしたまま現在の体制で運営しています。
こうした行事や組織の見直しについては、基本方針の中であらかじめ「行事や地域で行う共同作業などを見直す」という方向性を示していたこともあり、大きな問題になることなく進めることができました。
Q. 「海内まちづくり計画」を住民自身で見直していますが、取り組みの中で最も難しかったことは何ですか。
A1. 「海内まちづくり計画」を作成するのが難しかったこと
作成計画 → 住民アンケート → アンケート集計から結果から基本方針作成 → 冊子作成会議 と大きな問題なく完成しました。
A2. 「海内まちづくり計画」の実行で難しかったこと(難しいこと)
「海内まちづくり計画」の中で、最も難しかったのは「多様な見守り活動」についてです。
高齢化が進む中で、地域での見守りが大切であることは皆が理解しています。しかし、誰が、誰を、どのような形で見守るのか、また、どこまで地域が関わるべきなのかを考えると、なかなか簡単には答えが出ません。
見守る側の負担もありますし、見守られる側の気持ちやプライバシーへの配慮も必要です。また、地域の人だけでできることにも限界があります。
さまざまな方法を考えてきましたが、「これが海内地域にとって一番よい見守りの形だ」という答えは、いまだ見つかっていません。
だからこそ、仕組みをつくろうとするのではなく、普段の声掛けや地域で顔を合わせる機会なども大切にしながら、海内地域に合った見守りのあり方をこれからも考えていきたいと思っています。
Q. 現在の海内地域まちづくり計画では、地域の課題をどのように捉え、それをどのような形で具体的な活動につなげているのでしょうか。
A. 現在の海内地域では、高齢化や耕作放棄地の増加などが課題となっています。
高齢化が進み、これまで自分たちで行っていた草刈りや日常生活のちょっとした作業が難しくなってきています。また、耕作放棄地の増加も地域の課題の一つです。
一方で、地域にはまだまだ元気な方や、若い世代など、地域のために何かできる人もいます。そこで、地域の困りごとと協力できる人をつなぐ仕組みとして「ふるサポ」を発足しました。
「ふるサポ」では、高齢者などの日常生活の困りごとを地域で支えるとともに、若い世代を含め、地域で活動できる人が力を発揮できる場をつくることも考えています。
このように、高齢化や耕作放棄地の増加といった課題を、地域の人材や若い世代の力と結び付け、具体的な活動につなげていくことを大切にしています。
「ふるサポ」は、まちづくり計画で見えてきた課題を、実際の活動につなげた例だと思います。
